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佐野元春 リアルな現実 本気の現実 Part1 & Part2 歌詞

歌:佐野元春

作詞:佐野 元春

作曲:佐野 元春

発売:2018-06-23 22:38:00

ウィルはピンボケ
アドバルーンで遊んでいる
いつも必死なので
時々 的をはずしてしまう
ウィルの囲りの人々は
金を稼ぐのに夢中になると
いつしかウィルを見失う
 
ウィルはシャツを手に入れて
気にいるとそればかり着ている
銀の雨がウィルを濡らし
シャツは台無し
眠たげな世界をかたわらに
ウィルはドライヤーでシャツを乾かす
 
それでも気まぐれは起こる
街路でウィルを待つものはいない
絶望的な断絶
女友達のストロベリー・パイ
 
リアルな現実 本気の現実
 
キッチンのドアに手をかけて
自転車の修理をおもいだす
昨夜の人々は確実に
利息で愛を喰いつないでいる
ウィルの予感にマチガイなければ
 
「そろそろ行かなきゃ」とウィルは言う
「もう一度きかせてほしい
オレに何を望んでいるんだ」と彼の友達
「何でもないよ 何でもないよ」
「他に伝えておくことは」
ウィルは小さく首を振る
「ビールでも買ってこようか」
友達は遠くを見ながら言う
ボート乗り場に人影もまばら
 
五月の風にTシャツが揺れる
広場のまん中で陽射しが陰る
子犬が飼い主にそっぽを向いている
マーケットでは果物が売れている
 
リアルな現実 本気の現実
 
ウィルはピンボケ
アドバルーンで遊んでいる
いつも必死なので
時々 的をはずしてしまう
 
寝てもウィル
覚めてもウィル
彼女はウィルに夢中
ウィルがうらやましい
 
ウィルは美声の持ち主
小鳥達のさえずりも色あせる
ラジオで彼の歌が流れると
世界中の女性がうっとりする
 
かなりの富を手に入れた
欲しい物の大部分を手に入れた
でもウィルはとてもさびしい
ナンバー・ワンのひとりぼっち
 
プールサイドに腰をかけて
ウィルは遠くをながめている
となりでガールフレンドが眠っている
サンタン・ローションの午後
 
リアルな現実 本気の現実
 
子供はビーチマットに空気をいれる
真っ赤な顔をしてイッショウケンメイ
でもいつまでたってもふくらまない
小さな穴ぼこに気づいていない
 
ホット・タブに恋人が二人
さっきからずっとキスしてる
スペイン系とフランス系
二人の影が太陽に焼けついている
 
ウィルは犬を飼っている
世界でいちばんおかしな犬
ウィルがハープを吹きだすと
庭中グルグル駈けまわる
 
ウィルの親戚はとても陽気だ
でも知っている者はひとりもいない
彼らがどこからやってきて
どこに去ってゆくのかを
 
リアルな現実 本気の現実
 
娼婦から財産家の女まで
失業者からエグゼクティブまで
エキストラからメインアクターまで
ウィルを正しく評価できる者はいない
 
小さな声で一晩中
小さな声で一晩中
ウィルは誰れかに囁き続ける
明日はウィルの誕生日
 
君も聴いたことがあるかもしれない
苦悩の端で震えている
けれども少しだけユーモラスな声
ウィルがわからない奴もいる
彼らは自分を「完璧」だという
 
ウィルは美声の持ち主
誰の前でも「無」に唄う
街角でタイプを打ちながら
いつしかノイズも伴奏に変わる
 
リアルな現実 本気の現実
 
寝てもウィル
さめてもウィル
彼女はウィルに夢中
ウィルがうらやましい

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