今年1月に4作目となるアルバム『ベランダの煙草』を発表したsuzumoku(スズモク)が、わずか6か月間でアルバムをリリース。 新作を制作するにあたってsuzumokuは、事前には何も決めず沖縄のスタジオに泊まり込み、その場で思いつくままに作曲しレコーディングをするというスタイルをとった。自由と自然をテーマの作品をなんとなく作りたくなって衝動的に作った作品だ。 「なんとなく作りたくなって」というところがいかにも彼らしい言い方だが、仙台で大震災に遭ったかと思えば、誰よりも早く被災地を応援する曲を発表して話題を集め、震災の影響でキャンセルになってしまった全国ツアーは、北海道から再開すると震災前以上の動員と盛り上がりを見せるなど、人間として日々成長していく彼の一種の照れからくる表現なのではないだろうか。 その証拠に今作品では、トレードマークでもあった、今まで頑として貫いてきたアコースティックギターでの演奏スタイルを一転、エレキギターに持ち替えてループマシーンを使用したり新たな世界に挑戦している。「なんとなく」で出来てしまう内容かどうかは聴く人それぞれの判断にゆだねたいが、新曲(5曲)+過去曲(7曲)を再アレンジ録音という構成になっているので、今までの作品と聴きくらべてみるのもおもしろいだろう。アルバム全体としては、一日の始まりから終わりまでの物語に沿った楽曲によるコンセプト・ アルバムに仕上がっており、一曲ずつでももちろん楽しめるが、一枚を通して聴くとこのアルバムの世界にひたることができるようになっている。 ここ最近、バンドスタイルでロックな部分を見せたかと思えば、今度はアコギを置きエレキを持って新たな事にチャレンジするといういい意味で予想を次々と裏切ってファンを喜ばせてくれる。 タイトルの「Ni」(ニッケル)とは、ニッケル弦(巻き線にニッケルを使用した弦) 銀色の弦で主にエレキギターに使用される事を指す。