歌:天童よしみ
作詞:吉岡治
作曲:岡千秋
発売:2005-10-12 13:28:31
憂き世 算盤(そろばん)はじいてみたら、
苦労七分に仕合わせ三分。
お釣りもこない才覚(やりくり)を、
値切ったあげく添わせておくれと願かける。
この世は人生紙芝居、泣いて笑ろうて、笑ろうて泣いて、
浪花人情、蝶子・柳吉ものがたり。
好いた同士が 手に手をとって 勘当承知の
駆け落ちさわぎ
あんたかんにん 苦労をさせて いつか小店を
持つその日まで
雇女(やとな)稼業の 雇女稼業の 安来節
柳吉「蝶子… 蝶子、戸開けてえな」
蝶子「どなたです?」
柳吉「どなたて、わいやわいや」
蝶子「わいでは分りまへんで」
柳吉「継康(これやす)柳吉や」
蝶子「継康いう人は沢山(たんと)いたはります。
それに柳吉いう人は、此処には用のない人だす。
うちの大事な貯金通帳持ち出して、三日も家に帰らんと、
どこぞで今ごろ散財してはりまっしゃろ。
ほんまに泣くに泣けんわ。
あんた、帰るとこよう忘れんかったこっちゃな!」
柳吉「痛ァ!何すんねん、無茶しな・・・
すまん、すまんいうとるやないか、
どうぞ、かんにんしておくれ」
阿呆や阿呆やと柳吉の、胸をたたいて泣きすがる、
女ごころの…路地しぐれ。
はした金でも 節約(しまつ)を重ね
辛抱しわ虫 塵まで貯めた
あんた泣けるわ ふたりの貯金(ゆめ)を
いつの間にやら 根こそぎ使こて
もとの貧乏に もとの貧乏に 逆もどり
柳吉「蝶子、お前気にしたらあかんで。
これは芝居や、別れました、女も別れる言うてますと、
巧く親父を欺して、貰うだけのものは、貰(もろ)たら、
その金で気楽な商売でもやって暮らそうやないか。
明日、家の使いの者が来よったら、
別れまっさときっぱり言うて欲しいんや。芝居やで」
蝶子「…うちはいやや。
たとえ嘘にしろ別れるいうて手切金貰たら、
それきりで縁が切れそうな気するんや」
柳吉「ど阿呆。芝居や言うてるやないか。
ちょっとは欲を出さんかいや」
蝶子「いやや、いやや、お金はいらん。
雇女してても蝶子・柳吉は天下晴れての夫婦や。
うちの力であんたを一人前の男にしてみせますさかい。」
柳吉「阿呆んだら。お前はほんまに阿呆や!」
蝶子「阿呆や阿呆や、うちは浪花の大阿呆や!」
店を持っても 日持ちがせずに 頼りにならない
極楽とんぼ
あんたええがな 自由に生きて
そんな男に ほの字やさかい
ついてゆきます ついてゆきます どこまでも
蝶子「あんた、なんぞうまいもん食べにいきまひょか」
柳吉「法善寺の“めおとぜんざい"いこか」
蝶子「“花月"の春団治の落語も聴きたいわ」
柳吉「おばさん、あんじょう頼りにしてまっさ」